JUGEMテーマ:美術館
木村葉子です。
今年も正倉院展を見に行くことができました。
東京でも令和の天皇即位記念の正倉院宝物展があり、今年は良いものが東京にたくさん行ってしまったのでは、と思っていましたが、(そのせいではないかもしれないのですが)奈良の国立博物館の正倉院展は、今までになく、展示の数が少なかった気がします。
41件のうち初出品のものが4点ありましたが、昔に比べると見終わった後の興奮が減少している気がします。
それでも出品されているものの技術はとても高度なもので、羅の織物にしても、
4.5ミリほどの玉をつないだ飾りにしても、とても素晴らしいものでした。
万葉仮名で書かれた書状が今回は私の1番気になったものです。
熱心に書き写す男性もいて、文字の変遷を実感できる貴重なものでした。
思い返すに、初めて正倉院展を見た時は、大学生になって初めての秋だったと思います。
田舎で育った私にとって憧れの正倉院展。
今より出品も多く、どれも素晴らしく、シルクロードへの思いも強く、1つ1つの前からなかなか動けなくてうっとりと見入ってしまい、おそらく4時間くらいかけて堪能しました。
すごい!昔の人はすごい!このデザイン、この技術はすごい!と打ちのめされたような半日だったと記憶しています。
その思いは今でも同じです。
ハイテクになろうと、スマホやパソコンを操るようになっている現代でも、感動を生む力は人によるものだと思います。
正倉院展に行くたびに、初めて正倉院展に行って感動した昔の自分を思い出して、ものづくりの原点へリセットしてしているような気がします。
毎年、奇跡的に保管されている貴重な正倉院展御物を少しずつでも見ることができる幸せを、本当にありがたく思い、未来に何かの形で(例えば帯のデザインで)つなげていければ良いなと思います。